4.EntryとExitの具体的な手法
Contents
- ExitのタイミングはEntryの時に決まる
- トレンドフォロートレード
- ブレイクアウト投資法
- カウンタートレード
- まとめ
取引対象となる可能性がある銘柄が並ぶ監視リストを作り,日々の動きを監視してようやく有望株を見つけ出したら,いよいよ取引に入ります.有望株であっても取引のタイミングを間違えると結局損失に終わってしまうことになります.
株取引の問題を極めてシンプルに言えば「何に,いつEntryして,いつExitするか」という3点に要約できます.
この記事ではEntryとExitのタイミングについて,僕が実践している方法を書きます.
1.ExitのタイミングはEntryの時に決まる
投資方法は十人十色です.特に売買のタイミングは投資スタイルによって180度違うなんてこともあります.例えばグロース投資では企業の成長性に期待をして投資するため,企業の決算が悪化すれば迷いなく売却します.しかしバリュー投資家は企業の本質的価値を見ようとするため,例え企業の決算が悪化してもそれが一時的なものだと判断したら迷いなく買います.このように投資スタイルによって売買のタイミングは全く異なります.
しかしどんなスタイルであれ,一流の投資家の記録を見ているとEntryする時にExitのタイミングも決めていることが多いです.共通する点は,ポジションを立てた理由が崩れたら手仕舞いにするということです.
この姿勢はとても重要であり,どんなトレードをするせよ見習うべき態度です.特にまだ投資の経験が浅い時は,マーケットに溢れる情報に溺れてしまい,本来の投資ルールを見失ってしまいがちです.
これからいくつかの売買のタイミングを紹介しますが,ポジションを建てるタイミングだけではなく,手仕舞いにするタイミングも必ず守りましょう.
2.トレンドフォロートレード
トレンドフォロートレードは数ある投資法の中でも最古参の1つに挙げられると思います.僕が最も多様しているトレード手法でもあります.
僕が実践している方法はいたってシンプルです.
- チャートの一定期間の底値を結んだトレンドラインを引く.上図で言えば赤い線です.
- ロングポジションを建てるならばトレンドラインにぶつかって反発したら買います.上図で言えば,Aのポイントです.
- 株価がトレンドラインを割り込まない限りは保有します.
- 株価がトレンドラインを割り込んだら売却します.
僕が実践しているトレンドフォローのトレード方法はたったこれだけです.
補足説明をするならば,上図では2点を結んだラインですが,もし3点を通るラインが引けるならば,3点を通るラインを利用してください.トレンドラインというのは多くの投資家がそれを意識すればするほど効力を発揮します.
あるラインが底値の支持線として機能したのが2回なのか,それとも3回なのかによってその信頼性には雲泥の差が生まれます.
2点を結んだトレンドラインは裏切られることもしばしばありますが,3回以上株価を跳ね返したラインならばその後もしばらくトレンドが続く可能性がぐっと高まります.
なのでできることなら,3回以上株価の底値として機能したトレンドラインに従ってトレードをしてください.
そして注意点としては,トレンドラインを破った時には絶対に売却をして下さい.
トレンドラインによる投資法は株式市場の黎明期から存在する方法であり,現在も多くの投資家が愛用している投資法です.
今日までの長い間,時間の試練に耐え抜いて淘汰されなかった投資法です.今なおこの方法が受け継がれていると言う事実こそ,この手法の有用性を証明しています.
そんな優れた手法を使っているにもかかわらず,うまく利益が出せない人が多くいます.それはなぜか.一言で言えば,ルールを守れない人が多いからです.
株価の上昇トレンドに乗ってエントリーした訳ですから,トレンドラインを破った後も持ち続けるのはルール違反です.ましてやそこで,割安に買えると思ってナンピン買いをするのはもってのほかです.
大事なことなので繰り返し言いますが,トレンドラインを引いてエントリーをしたのならば,ラインを破った瞬間,利確でも損切りでも必ず売却をしましょう.
このルールを守れなければ,トレンドフォローの投資をしても利益は上がられないでしょう.
トレンドフォローの方法はロングポジションだけでなく,ショートポジションでも同様に利用可能です.念のためその方法も記載しておきます.
- チャートの一定期間の高値を結んだトレンドラインを引く.
- トレンドラインに押し返されて下落したら空売り.
- 株価がトレンドラインを上抜かない限りは保有.
- 株価がトレンドラインを上抜いだら売却
トレンドフォロー系の指標にはトレンドラインの他にも移動平均線やMACDなど,どの証券会社のチャートでも搭載されているテクニカル指標があります.
同じトレンドフォロー型のトレードでも,トレンドラインを使わず25日移動平均線を利用している投資家もいます.25日移動平均線を上に抜けたら買い,下に落ちたら売るという方法です.使う指標はどれでも構いません.
大切なのは株価のトレンドを表す指標を選び,シンプルなルールに従ってトレードをするということです.
僕はいろいろな指標を試した結果,最も相性がよかったのでトレンドラインを選びました.上記の通り,その効力が歴史的に証明されていると言う点でも心強く思います.
もしトレンドフォローのトレードをして見たいけど,どう始めたらいいかわからないという方いましたら,まずはトレンドラインを自分で引いてやってみるといいと思います.
3.ブレイクアウト投資法
ブレイク投資法はマーケット全体が弱気から強気に転換するタイミングで莫大な利益を挙げられる投資法です.逆に言えば使いどころを間違えると勝率があまりよくない投資法です.この手法を用いた投資で最も有名なのが,かつてアメリカで莫大な利益を稼いでいた投資集団タートルズです.
トレンドフォローのトレードに比べるとこの手法を用いる頻度は少なくなりますが,1回の当たりで資産を何倍にも増やす可能性を秘めた投資法ですので,是非覚えましょう.
ブレイクアウト投資法とはその名の通り,何かをブレイクアウトした瞬間にポジションを建てる投資法です.ブレイクの対象として最も多く使われるのはレンジブレイクです.
株価が一定のレンジでもみ合っていた中,ある日突然そのレンジを勢いよく飛び出したらポジションを建てるサインです.上図のような動きをしたならばブレイクをした瞬間にロングポジションを建てます.
ブレイクアウトにはいくつか形がありますが,共通して大切なことは2つあります.
1つは出来高が伴っていることです.
ブレイクアウト投資で成功した場合,その後数日間は大きな調整もなく,鯉の滝登りが如く株価が大化けします.その上昇の勢いを支えるには少なくとも過去1ヶ月の平均出来高より30%程度出来高が増えていないといけません.
株価の形だけを見ればブレイクアウトしたかのように見える銘柄は多くあります.しかしそこに出来高の急増を伴っている銘柄となるとぐっと少なくなります.ブレイクアウトの騙しに引っかかる回数をなるべく少なくできるよう,しっかりと出来高が伴っているか注意してみてください.
2つ目の重要事項はブレイクアウト時に長い陽線が立っているかということです.
これも理屈は出来高と同じです.ブレイクアウトに成功して勢いに乗れる銘柄は買いが買いを呼び,数日間は青天井に上がっていきます.その大きな買いを惹きつけるには初動の勢いが大切です.レンジでもみ合っていた銘柄が突然長い陽線とともにブレイクアウトを果たしたならば,それが本物である確率は一気に高まります.
具体的にブレイクアウト投資は下記の手順で行います.
- 日々監視している銘柄の中から,一定期間レンジを築いている銘柄を抽出する.(大きな上昇を果たす銘柄はその前に数週間レンジ内でもみ合っていることが多いです.)
- その中から,レンジの抵抗線を突き抜けた銘柄を探す.
- レンジブレイクをした時に,出来高が過去1ヶ月平均より目安として30%以上増えているかをチェックする.
- ブレイクアウトを果たした日の日足が長い陽線となっているかをチェックする.
上記の全てをクリアしている銘柄ならば,翌日にエントリーしてみる価値はあると思います.通常ブレイクアウトに成功した後の数日はほとんど抵抗なく株価が上昇していきます.エントリーした後に株価が上昇せず,元のレンジに戻ってしまうようならば速やかに損切りをしましょう.
ブレイクアウト投資方はレンジブレイクの他にも,年初来高値や52週間高値,上場来高値をブレイクした時にEntryのチャンスが発生します.注意事項は上記と同じ2点ですので,チャンスを見つけたらぜひエントリーしてみましょう.
また,上図では一定の幅を保ちながらレンジを築いていますが,だんだんと幅を狭めていくレンジもあります.その場合はやがてレンジの幅が極度に狭くなりますので,ブレイクするタイミングが比較的読みやすくなります.
4.カウンタートレード
カウンタートレードはいわゆる逆張りの手法です.手法のメリットとしては取引の期間が短く,勝率が高い.またトレードの機会が豊富にあることが挙げられます.
トレンドフォローやブレイクアウトとは異なり,比較的高い勝率で小さな利益を積み重ねていくトレード手法です.
逆にデメリットとしては損切りを実行できなければ大きな損失を出すことになります.また,トレードの機会が豊富ということは逆にいえば軽率なトレードをしてしまいがちです.
カウンタートレードも実際の手法はシンプルです.
- 日々観察している銘柄の中からレンジを築いている銘柄を抽出する
- 安値の抵抗線にぶつかって反発したら買い (もしくは高値の抵抗線にぶつかって反発したら空売り)
- 高値の抵抗線にぶつかって反発したら売り(もしくは安値の抵抗線にぶつかって反発したら買い戻し)
実は上図は2016年の年初から4月末までのJT(2914)の値動きです.
この図で言えばポイントAで買い,ポイントBで売却をするのが典型的なカウンタートレードの手法です.
ポイントAで買った後,Bに達する前に一度下落をしていますが,僕ならばそこで利確はせず,高値のラインに当たるか,もしくは同値撤退のどちらかになるまで保有します.カウンタートレードはもともと小さな利益を積み重ねていく手法です.その中でさらに抵抗線に関係なく,売買を繰り返してしまうとノイズに振り回され,結局勝率まで下がってしまうことになりかねません.
繰り返しとなりますが,EntryのタイミングでExitは決まります.途中でルールを変えて取引をすることはないようにしましょう.
カウンタートレードの注意点としては2点あります.
1つ目はレンジの値幅です.小さな利益を積み上げると言いましたが,レンジの値幅が1%程度しかないような銘柄を対象とした取引は割に合いません.多くの銘柄は1日で1%以上の値動きをします.カウンタートレードの手法に従って取引すれば,期待利益が1%なのに対して,損切りの場合は1%以上の損失を出すことが多くなります.これではトレードをすればするほど損失が膨らんでしまいます.
カウンタートレードをする場合はレンジの値幅が5〜10%程度ある銘柄を対象とした方がいいです.
2つ目はノイズの処理です.上記のJTの値動きを見ても分かる通り,レンジを築く際の株価はピタッと高値抵抗線と安値抵抗線で切り返すわけではなく,抵抗線のやや手前で切り返すことが多くあります.逆をいえば,抵抗性をやや越えて切り返すことも多いです.こういったノイズをどう処理するかが実際のトレードでは大切になってきます.ノイズの幅は銘柄によって異なりますが,エントリーをする際にはピタッと抵抗線にタッチことを前提とせず,上下1%程度の余裕をもたせた方がいいと思います.
5.まとめ
最後まで読んでいただき,ありがとうございます.
僕がよく利用するトレード手法を3つ紹介しましたがいかがでしたでしょうか.明日からでも始められるようシンプルに書くことを心がけましたが,数えてみると5000文字を超える長文となってしまいました.
ここに書いた手法は僕が何十冊も本を読み,そしてそれを実践して考察を深めてきた手法です.今現在も完成しているものは1つもなく,日々の経験を通してさらに進化させようとしています.
いきなり全部を実行するのはなかなか大変だと思いますので,まずは1つ選んでやってみましょう.
ここまでせっかく大切な時間を使って5000文字も読んできたのです.行動に移さなければ得られるものはありません.明日にでも証券口座を開設してやってみましょう.
実行している中で,もしなにか躓いてしまうことがあるようでしたらお気軽にご質問ください.できる限りお応えしたいと思います.
前出の記事に加えてこの記事まで読み終えれば,みなさんは「何に,いつEntryして,いつExitするか」という3つの質問に答えられるようになっています.
投資に免許皆伝はありませんが,ここまでくれば投資を始めるのに十分な知識を持っています.
時は今,第一歩を踏み出して見ましょう!
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