○一は全・全は一●

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これからどうなることやら

先週は上海株暴落を受けて、世界各国の株式市場が下落しました。

その上海総合指数は週末にかけて、4000ポイントを回復し、また合わせて世界経済のもう一つの懸念とされていたギリシャのデフォルト懸念も一旦は落ち着いたことから、日経平均は再び2万円代を回復し、S&Pも落ち着きを取り戻しています。

 

大事なのはこれからですが、僕は市場が落ち着きを取り戻した今が売り時だと思います。その理由は大きく分けて3つあります。

第一にテクニカル面の判断として、大商いを伴う下落が明らかに増えました。これは機関投資家が株式の出口を探っている可能性を示します。

 

第二に先導株の動向として、下落傾向に転じている物が増えました。「アベノミクス」に「クロダバズーカー」、官製相場と揶揄される今回の上昇相場は2013年の頭から始まっています。政府が全力で景気回復に取り組み、日銀は市場にマネーを供給する中、いち早く弱気相場から抜け出し、株式市場を引っ張ってきた銘柄達はマーケットの下落に先立って下落に転じます。そしてその銘柄達がここへきて動きが鈍くなっています。次の四半期もしくは、翌々四半期の決算では業績が高まった市場コンセンサスに届かない企業も増えるでしょう。「上げ潮は全てを押し上げる」と言いますが、それは素晴らしい動きを見せる先導株が国内外の機関投資家の投資意欲を掻き立て、市場にお金を引っ張って来るからです。市場に流れ込んだマネーはマーケットを駆け巡り多くの銘柄を押し上げますが、もともと市場に入ってきた理由である先導株が勢いを失えば、すぐに引いて行きます。

 

第三に世界経済が抱えるリスクの根本原因が解決されていません。ギリシャ問題と中国のバブルを並列して伝えられることが多いですが、ギリシャの問題はインパクトの大きさという面からみるとそこまで大きな問題にはならないです。問題は中国のバブル崩壊です。世界第2位のGDPを誇る国(しかも民間の信用はGDPの2倍もある国)の経済の崩壊は世界経済にとてつもない悪影響を及ぼすでしょう。リーマンショック以降、中国は高い時で年30%の信用成長をしていました。そのお金は不動産投資に回り、建設ラッシュを引き起こしました。クレイジーな建設ラッシュの末、当然ながら過剰供給となり、多くの不動産の在庫を抱えることになります。

借りたお金で買った不動産、建てた不動産の価格が暴落すれば、お金を貸していた銀行に大きな打撃を与えます。銀行が次々と経営不振になり経済が回らなくなるという未来を防ぐ為には、中国は国家をあげて取り組まなければなりません。

しかし株式市場への対応を見ている限り、今の中国にその力があるとは思えないです。次々と行った利下げは株価暴落を止められず、市場は一時、40%にも昇る銘柄が取引停止となました。

最後には公安まで動き出し、「悪質な信用売り」を取り締まるといった対応は市場参加者から見たら、もはやホラーだったかと思います。

実態経済からかけ離れた株価と不動産価格は必ずどこかで調整されます。

しかし今回の株式市場への対応は、中国には「調整をソフトランディングさせる力がないのではないか」と思わせるものでした。

週明けから世界の市場に大きな動きはなく、いたって静かな市場が続いています。

僕の目にはそれは「嵐の前の静けさ」に移ります。

 

まずは、保有株をキャッシュポジションに戻すこと。

そして同時にプットオプション空売りの研究をしながら、タイミングを見極めたいものです。