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○一は全・全は一●

マーケット分析、投資手法の紹介記事がメインです。投資に関する意見や質問はお気軽にコメントください。ブログ紹介:http://skoumei.hatenablog.com/entry/2016/04/30/173822

日本の市場は加熱しているのか

個人で株式投資をしている上、不動産投資関連の仕事をしていると人に

会えば大抵は株価か不動産の話しになります。

 

銀行や証券会社の方とお話をすると日経平均が1万9千円を超えたあたりから

加熱しているとの意見を多く聞くようになりました。

特に銀行で金融派生商品を取り扱っている方々は株価高騰に合理的な理由が

見つからないという見方をしていて、現在の相場に懐疑的です。

 

しかし僕は株式マーケットが加熱しているとは思っていません。

まず株価収益率(PER)を見ると現在は大体15〜17倍程度です。

直近のPERの推移を見ると、2014年の4月に23倍まで上昇したあと、下落に転じています。

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(ゴールデンチャートより引用)

 

現在の株価は去年の4月よりも上昇していますから、このPERの推移は日本企業の業績が好調であることが背景にあると言えます。

ちなみにアメリカ株のPERも現在18倍程度です。ナスダック総合指数の株価だけを見るとドットコムバブルに市場が湧いていた時期の値に近づいていることからバブルを懸念する声もありますが、当時のPERは100倍近くでした。

 

 

実態経済に目を写してみると、内閣府が公表している景気動向指数(CI値)の一致指数は上昇しています。このCI値はリーマンショック後の2009年3月にそこを打ち、78.5から上昇へと転じています。

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(内閣府より景気動向指数 平成27年2月分より引用)

 

またGDP成長率はターゲットの2%に届かないものの、バブル崩壊後の20年を振り返っても悪い数字ではないと思います。

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日経平均2万円というのは、企業の好決算と経済成長の裏付けがしっかりあり、

決してバリュエーションに無理がある数値ではないと思います。

 

一方で、僕が過熱気味だと感じて見ているのは不動産市場です。

特に東京の都心部はここ2年間の公示地価を見ても大幅に上昇していることがわかります。

 

不動産投資というのは賃貸市場、売買市場、金融市場の3つのマーケットに大きく影響を受けます。1つの取引額が大きく、融資を受けずに売買されるケースが少ないため、とりわけ銀行の融資評価から受ける影響は大きいです。

その融資評価は2013年の夏頃から大きく変わりました。リーマンショック後に不動産の担保価値を元にがっちがちに固い数字を提示していた融資態度が一変し、不動産から得られる収益を元に融資額を決定するようになりました。

 

銀行の融資評価が変わるとまずは不動産の転売業者が活発に売買を行うようになります。今までは銀行から十分な融資を得られず、買いたくても物件を買えていなかったわけですから、水を得た魚のように物件を高値で仕入れるようになります。この流れが一旦始まると不動産の売買価格はものすごい勢いで上昇していきます。

 

金融マーケットの緩和を受けて、売買市場が熱を帯びていく一方で、賃貸マーケットはそう簡単には動きません。賃貸借契約は2年間の契約が多いですから契約期間中は価格の変動ができません。そして更新時期になっても、長いデフレを経験している不動産オーナーは賃上げに抵抗を感じることが多いです。

不動産から得られる収益を不動産の購入価格で割った表面利回りはリーマンショック後10%前後でした。その利回りが2014年上旬には8%で取引されるようになり、更に年末には5%代の物件も多く見るようになりました。

転売業者は物件を安く買って高く売ることが仕事ですから、高値で仕入れた不動産はさらに高い価格で売却します。その売却先がどこかというと、一代で財を築いた経営者、親から会社を受け継いだ二代目、企業医、弁護士などお金を持っているけど、不動産取引の経験が少ない人達です。

こういった人たちが不動産のマーケットに参入するころには、すでに業者の間で何往復も取引をしていて、高い価格でマーケットが出来上がっています。彼らは不動産のプロから見たら恐ろしい価格で物件を買うことになります。

 

利回り5%というと株や債券などと比べて高いように感じるかもしれませんが、不動産はこの表面利回りから①入居者の募集や管理を任せる管理費用、②建物のメンテナンス費用、③火災保険などの保険料、④固定資産税・都市計画税などの税金が取られます。そこから更に金利を返済して、残った額から所得税を取られて、元本返済をします。

表面利回り5%で不動産を持っていても不労所得どころか、維持費用がかさみ、赤字になってしまいます。

それでも「元本返済が終われば不動産が自分のものになる」と思われるかもしれませんが、その資産価値が半値以下になることは決して稀ではありません。

リーマンショックの前、不動産業界はファンドバブルに湧いていました。米国勢のファンドが日本に進出し、J-REITをはじめ不動産投資ファンドを次々と立ち上げました。その勢いにつられて転売業者も個人投資家も高値で不動産を取引するようになりました。

その結果がこうです。

                    東証REIT指数

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今、東京はアベノミクスの勢いに乗り市況はいいと思います。また2020年の東京オリンピックに向けて土地の再開発が次々と行われています。

この勢いはまだしばらくは続くのかもしれません。しかし、市場が幾度となく経験してきた通り、パーティーはいつか終わり、音楽はどこかで必ず鳴り止みます。

そのタイミングをピタリと当てるギャンブルを楽しみたいという欲求を持っていない限り、今は東京の不動産への投資には慎重になるべきだと思います。